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もしかして、あなたは叱りすぎていませんか?
幼い頃からの子供の教育として「ほめる」こと「叱る」ことは、とても大切なことです。
そして、なかなか上手くいかないのが「ほめる」と「叱る」かもしれません。
しかし、親が叱りすぎている現状もあります。
「叱る」よりも「ほめる」方が、子育てには有効です。
その具体例を紹介しながら、叱りすぎの悪影響を検証してみましょう。
「叱って育てる」の落とし穴
「ほめることも大事だけど、もっと叱って育てた方がいいんじゃないの?」
世間の親御さんたちは、このような考えを持っている人が少なくありません。
確かにガツンと叱れば、子どもは言うことを聞きます。
手っ取り早い方法ですが、子どもは納得しているわけではありません。
心の成長に弊害がおこる可能性は高いと思います。
ほめたり、叱ったりするのは何のためでしょうか?
それは子どもに、
「悪い行いをやめさせ、正しい行いを身につけさせる」
ことです。
そして、自分も幸せになり、他人も幸せにする人生を送ってほしいからです。
ところが、叱り方を間違えると、子どもの自己肯定感を損ない、
「自分はダメな人間なんだ・」
「自分は生きていても価値のない人間なんだ。」
と子どもを追い込む結果になってしまいます。
これでは自分も他人も大切にすることができません。
全く叱る必要がない子育ては確かに問題です。
しかし、それよりも叱りすぎて子どもを不幸にしている方がはるかに多いのが現実です。
叱るより、ほめる方が効果的な5つの理由
幸せな子どもを育てるためには、「叱る」より「ほめる」方が有効な理由を具体的に挙げてみましょう。
① 子どもの心の成長にいちばん大切な、自己肯定感が育まれる
ほめることによって、自己肯定感という心の基礎が築かれます。
② ほめることによって、親子の信頼関係が作られる
信頼関係があると、たとえ叱っても、
「親は自分のために叱ってくれたんだ。」
と感じます。
反対に子どもが親に心を閉ざしている状態では、叱っても伝わらないだけでなく、
「親は自分のことを嫌いなんだ!」
と思ってしまいます。
③ ほめる方が、叱るよりも良い習慣が身につきやすい
ほめられると、またやろう!と意欲が湧くのは大人も同じです。
逆に叱られてばかりだと、すねたり、聞き分けが悪くなったりして、良い習慣が身につきにくくなります。
そんな子どもの態度に対して、お母さんもイライラするようになり、どんどん悪循環に陥ります。
④ 叱りすぎると、失敗を隠し、ウソをつくようになる。
これは最も懸念されることの一つです。
厳しく叱りすぎると、「なぜそうしなければならないのか?」を学ぶ前に、「いかに叱られないようにするか?」がテーマになってしまいます。
そのため失敗を隠そうとしたり、ウソをついたりするようになります。
⑤ 叱られた恐怖心がなくなったとき、ルールを守れなくなる
「叱られるのが怖いからやらない」
とコントロールするのは、本当にルールが身についたとは言えません。
大きくなって肉体的にも親と同等に対峙できるようになり、叱られる恐怖心が無くなったとき、そのコントロールが効かなくなります。
家庭内暴力はこの傾向が大きいと考えます。
それは本当に叱るべきことでしょうか?
叱り方を学ぶ前に、もう一つ考えてみたいことがあります。
それは、「この行動は本当に叱るべきか?」
ということです。
私たちは意外と、
叱るべきではないこと
叱っても仕方がないこと
叱らなくてもいいこと
で叱っています。
それは大きく分けて2つあります。
①まだ、わかる年齢になっていない
②親にとっては困ったことだが、人に迷惑をかけるほどではないこと
まだわかる年齢になっていない
1歳まで
例えば、1歳くらいまでの子どもは、自分の気持ちはわかっていても、他人の気持ちを知ることは不可能です。
状況を把握することなど、できるわけがありません。
ですから、この時期の子どもにルールを作って守らせることは無理です。
それよりも、子供が危険な目に会わないように、親や大人が環境を整えたり、外では常に注意をはらうことが大切です。
1歳〜2歳
1、2歳の子どもは、親の言葉や指示をだいたい理解はできるようになります。
しかし、それに従うことはできません。
1歳半をすぎると何かにつけて、「イヤ」「やだ」と言うようになります。
これは自我が芽生えてきたとことで、喜ばしいことです。
子どもの心が成長している証しです。
この時期に大切なのは、
「これはアチチだよ。」
「イタイイタイだからね。」
「危なからナイナイしようね。」
など、叱るというより状況を言葉で説明することです。
2歳〜
2歳を過ぎると、子どもは相手の言っていることを理解できるだけでなく、自分の意思をかなり上手に伝えることができるようになります。
親の言う通りにしたり、指示に正確に従うことは難しいですが、先の見通しを示してあげると、多少はガマンできるようになります。
ただ、他の子どもと上手くコミュニケーションをとることは難しく、わがままを言ったり、人の物を取ったりします。
決められたルールを守れるようになるのは、もう少し先になりますが、ダメなことはダメと伝え、「順番だから次にしようね」など、見通しを示した話をすることが大切です。
3歳〜
3歳を過ぎるころから、子どもはようやく少しずつルールを守れるようになります。
そこで親は、
「何が正しい行動で、何が悪い行動なのか?」
「どうしていけないのか?」
を一緒に考えて、繰り返し教えることが大切になります。
親にとっては困ったことだが、
人に迷惑をかけるほどではない!
私たちは、
「言われたことをしない」
「ぐずぐずしてさっさとやらない」
「早く食べない」
「物をこぼす」
「壊す」
「ひっくり返す」
「片づけをしない」
「着替えをいやがる」
「イタズラをする」
「汚いものにさわる」
「宿題をしない」
こんなことでついつい怒ってしまいます。
これらは確かに困った行動です。
しかし、ただちに命にかかわるような大きな問題ではありません。
子どもの性格でどうしようもないこともあります。
イタズラは心の成長に欠かせない部分もあるので、決して悪いことではありません。
子どもとは、元来、自己中心的です。
失敗ばかりして、こちらの言うことなんか聞きません。
それが普通の「子ども」ということなのです。
あなたの育て方が悪いからそうなっている訳ではありません。
子どもには、子どもなりの理由があっての行動なのです。
自己中心的というのは「自分を大切にする」ことです。
子どもは他人を大切にするまえに、自分自身を大切にすることを学ぶ必要があります。
その行動が、どうしても自己中心的に見えてしまうのです。
失敗も、それによって学ぶ機会を得ているので決して無意味ではありません。
むしろ失敗を経験しながら成長していくものです。
言うことを聞かないのも、自我が目覚めて自己主張が出てきているのです。
ということは、順調に心も成長しているということなのです。
もちろん注意をしてすぐに良くなるなら、親は楽です。
でも現実は違いますよね。
注意をしてもなかなか聞かないし、なんでもかんでも叱っていると逆に親の方が疲れてきます。
「子どもはこんなのも」
「今はわからなくても、そのうちわかるだろう」
くらいに考えてみましょう。
一度叱ったら、しばらくは放っておくことも良いのではないでしょうか。
ですから、大声を出して感情をむき出しにしてしからなければいけないことは、
「自分を傷つけること」
「他人を傷つけること」
この2つしかないと思います。
自分を傷つけることとは、
「車道に飛び出す」
「危険な場所で遊ぶ」
こと。
他人を傷つけるとは
「暴力」
「火遊び」
などです。
それ以外のことは、子どもの成長の段階と親の心のゆとりを踏まえながら、少しずつ教えていけばいいと思います。